2019年3月号

理士 白井 清一

確定申告

 所得税の確定申告期限が近付いてまいりました。毎年のことですが税理士事務所にとっては、この時期が一年の中で事務が最も輻輳(ふくそう)し、職員は毎日夜遅くまで、また、休日も返上で仕事をしております。
 これを聞くと、「なんだ!MBC合同会計はブラック企業か?」と言う事になりますが、職員一同お客さんのために頑張っております。
この確定申告も、制度の創設以来70年以上を経過し申告手続きも様変わりしてきました。
 昔は、算盤を片手に決算書・申告書などすべて手書きで作成し、お客さんのハンコを貰い、出来上がった申告書を束にして税務署に提出に行ったものです。
いまや「電子申告」の時代となり、紙の申告書で提出するのは電子申告になじまない少数のものだけになりました。
 紙の申告書が全盛のころは、コンピュータに入力するために申告書から人の手で入力してデータを作成していました。
この入力作業を国税庁のコンピュータセンターで行うわけですが、広い部屋にキーパンチャーの女性が何十人といまして、キーを叩く音があたかも急流のように「ザー」と聞こえました。
 コンピュータの進歩は目覚ましく、今や納税者や私ども税理士がインターネットを使い直接国税庁のコンピュータにデータを入力しています。
昔は、暮れのうちに決算書の用紙が送られて、年明けには申告書の用紙が送られてきましたが、今は電子申告と言う事で用紙も同封されていた説明書なども紙では送られてこなくなりました。
 これらの用紙類の印刷費や発送のための費用、また、データ入力のための費用など膨大な徴税コストが削減されたと考えられます。
 国税庁が民間企業であればコストが下がったのですから、ユーザー(納税者)にその一部でも還元されるのでしょうが、徴税コストが下がったことによる減税や見返りは無いように思います。
 その分は、「増税しないで済んだと思いなさい!」というところでしょうか。

税理士 中山 吉晴

商売を図る係数とは?

商売は同じことをやっていると、必ず縮小していきます。
なぜなら、ライバルが安売りをし、誰かがもっといい商品、もっといいサービスを開発し、大手の会社がニッチな市場に参入する、その他その他、だからです。

売上や利益が減る要素は世の中にいくらでもあるのに、増える要素はほとんどなく、その要素に気づくのはとても難しいことです。 ですから、放っておけば売上・利益は必ず減るのです。

まずは現状をどう変えれば売上が増えるか、利益が増えるかを考えるしかありません。
しかし、それでいいアイディアが浮かんだとしても、うまくいくかどうかは分かりません。
ただ、やらなければうまくいくかどうかも判断できませんので、「やる」ことが重要です。
それが成功なのか失敗なのかは、損益計算書では大づかみにしか分かりませんし、しかも遅いです。

これをタイムリーに、現場で分かるようにするのが「トリガー係数」と「ターゲット係数」です。
トリガーが引き金(原因)で、ターゲット(目標)は結果です。
ヤマト運輸のケースで説明しましょう。

ヤマトの利益を圧迫しているのは、再配達の多さです。 これを減らせないか、が計画の目的です。
そこでクロネコメンバーズという会員制サービスで、再配達を減らせないかと考えました。
メンバーは自分の受け取り場所(コンビニや駅ロッカーなど)や時間を指定できるため、便利です。
これを積極的に利用してもらえば、再配達は減るはずです。

目的達成のためには、メンバーを増やすことがまず必要で、メンバー数が「トリガー係数」です。
さらに、受け取り可能なコンビニ数や駅ロッカーの数なども「トリガー係数」です。
コンビニ、ロッカーでの受け取り数(の増加)、再配達数(の減少)がターゲット係数になります。
結果として、配達生産性(トラック1台当たりの荷物数)が上がるかが、最終のターゲット係数です。

メンバー数(トリガー)が増えたのに、配達生産性(ターゲット)が上がらなければ、この計画は失敗です。
計画を修正するか、やめて他の計画を考えるかを、しなければなりません。
こういう数字ならば、現場でカウントでき、週1回など短い期間でチェックすることができます。

計画は仮定ですので、うまくいったかどうかをなるべくタイムリーに確認できないと、手遅れになります。
皆さんの「トリガー係数」と「ターゲット係数」は何でしょうか?

2019年2月号

理士 白井 清一

今年の税金

 ご承知の通り、10月1日から消費税が複数税率となり税率が10%と8%になります。
 この8%の軽減税率の対象となるものは、原則的には食料品となりますが、巷で騒がれているようにその処理事務については相当な事務量と労力が必要になると思われます。
特に自分の会社や店舗で一般の物品販売と食料品などを扱っている場合、また、飲食料品店等で、お客さんが店舗内で食べる場合と持ち帰る場合がある店などは税率別に集計できて軽減税率の表示ができるレジなどを急いで準備する必要があります。
 また、会社で食料品など8%のものを買ったときは、その内容が分かるように帳簿等の記帳をして税率の表示がされた領収書の保存も必要になります。
 また10%の税率は軽減税率適用以外のすべての取引に適用されるわけですが、これにも前回の消費税の増税の時と同様の経過措置があります。
 工事契約や店舗・倉庫などの賃貸借契約で一定の条件のものについて、この3月31日までに契約がされたものについて現行の税率である8%が適用されます。
 但し、工事を請け負う側としては売り上げの消費税は8%で、下請けに支払う外注費などは10月以降の分について10%となるため有利になるとは限りません。
 消費税が10%に上がることをお客さんが意識し増税前に契約しようとすることにより、契約が早めにとれるということが有利に働くと言う事だと思います。
 また、倉庫・店舗の賃貸借契約についても契約の中で賃料の変更ができないことが明らかである場合などの条件があるため、疑わしいものについては契約の内容について事前に相談をして頂きたいと思います。
 更に、今年も確定申告の時期が参りましたが今年の申告から配偶者控除については、配偶者の所得が38万円以下であっても自分の所得の合計が1千万円を超えると配偶者控除ができなくなりましたので、ご自分で確定申告をされる方は十分注意していただきたいと思います。

税理士 中山 吉晴

会社規模で利益の性質が変わる?

当事務所では、お客様(法人)のうち、何%の会社が利益で、何%が赤字かを集計しています。 
去年は次のような結果でした。

やはり、1千万円以上の利益を出すのはかなり難しく、上位13%の会社しかありませんでした。
(もちろん、年によって変わりますが、毎年おおむねこのくらいの割合です)
毎年このくらいの利益を出す会社には、銀行が金利を安くするから、お金を借りてくれ、と言ってきます。
こういう時に、担保を外せとか、保証人を外せとか、交渉するといいです。
金融庁の銀行への指導は、なるべく無担保、無保証人で融資しろですから、成功する可能性はあります。
(極端なケースでは、社長まで連帯保証人から外すケースもあります)

黒字で、最も多いのが百万から5百万の利益の会社です。
銀行からすると、可も不可もない会社、目立たない会社ということです。
ですから、このクラスの会社は無理な節税などせずに、利益を1千万円に持ち上げることを考えるべきです。
(社会保険に加入したり、奥さんの給料を適切な金額に上げたり、やって当たり前のことはやるべきです)
そして、銀行の信用を得て、事業展開を考えるべきです。

百万円以下の黒字会社は14%でした。
会社評価の上では、赤字とは天と地の差があります。
しかし、銀行からすると、赤字予備軍という見方をされる会社もあります。
何にしても返済原資がほとんど無い会社、と見られることは確実です。

36%の会社は、残念ながら赤字でした。
赤字の会社は以前はもっと多かったです。
(世の中全体だと70%赤字といいますが、銀行で借り入れをするくらいの会社ですと、この位の割合でしょう)
同じ赤字でも、許せる赤字と、そうでない赤字があります。
たとえば、設定を間違えて役員報酬を取りすぎた場合や、特別損失で赤字などの場合は翌年黒字にできる
ため、許せる赤字です。
しかし、役員報酬もぎりぎりまで下げ、赤字が構造的に常態化しているような会社は、深刻です。
とにかく銀行の評価を良くするには、赤字の連続はだめです。

会社が小さい時の利益は生活費とイコールで、税金は文字通り、身を切るような痛みです。
この段階は、会社とはいえ、実態は、生業です。
これが次の段階にくると、家業的段階で、利益は親族で分配したり、貯蓄したり、となります。
2千万以上の利益の会社になってくると、そろそろ組織体になり、企業に近づきます。
家業的企業であり、利益は投資(機械や人、広告など)のための財源になります。

2019年1月号

理士 白井 清一

正月のたわ言

新年あけましておめでとうございます。
今年は皆様方にとって良い年となるよう、MBC職員一同心よりお祈りいたします。
今年は特別な年で、平成も残すところ数か月で元号が変更になるとの事ですので、よりせわしない年になりそうです。
年明けには 各所の寺で除夜の鐘が鳴りましたが、その中に「日産の鐘」と言うのがあって、叩くと「ゴーン」と鳴るそうです。
この「日産事件」についての真相は我々など知る由もありませんが、税理士の立場から勘ぐれば、数十億円と言う高額な役員報酬が法人税の申告の中で損金性がどこまで認められるのか、また、事前に将来の報酬が確定していた部分の課税は済んでいるのか、更には、海外にある家や家族旅行の費用など我々が日々税務調査で指摘されるような事柄について適切に課税されているのか、これらの課税関係について特別扱いすることなく国税当局にも頑張って頂き我々に対するのと同様に厳格な課税をすべきだ、などと正月明けの寝言を言うのは私だけでしょうか。
 例年のごとく、暮れに政府与党の平成31年度の税制改正大綱が発表されました。法人税や所得税に関する根幹的な改正は見当たりませんでしたが細かい手直し(増税)について具体的に対応が必要なものについては折に触れてお知らせしていきたいと思います。
今年の最大の関心ごとは、やはり10月からの消費税の増税だと思います。
暮れに今年度の国家予算の概要が発表されましたが、ついに101兆円を超えました。
この中には消費税の増税に伴う景気対策のための予算が2兆円余り含まれているとの事です。しかもこれらの対策は受ける国民側にとって複雑なものになるとの事で、いったい何のための消費税増税なのか疑問に思います。
正月早々黄昏税理士のたわ言になってしまいましたが、MBCの職員一同皆様のお役に立てるように頑張りますのでよろしくお願い申し上げます。

税理士 中山 吉晴

どんな業種でも使えるスーパー経営指標

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
経営状態を測る指標はたくさんあり、何を知りたいかによって使い分けが必要です。
また、業種によって有効な指標は違います。
そんな中で「活動生産性」は、どんな業種でも、規模の大小にかかわらず使える貴重な指標です。

限界利益とは売上から変動費(仕入外注費などの絶対必要な原価)を引いた、残りの利益です。
固定費は給与や家賃、広告費その他、変動費以外の全ての費用をいいます。
企業活動は仕入(変動費)から始まり、次にこれを売ることで、最初の利益がもたらされます。
(この利益金額以上の利益はあり得ないので限界利益といいます)
企業が活動をすれば売上の大小に関係なく経費(固定費)がかかります。
つまり限界利益が生産性を表わし、固定費は活動の大きさを表わすわけです。
活動生産性の改善は、①限界利益を増やす ②固定費を減らす ③両方増やす などの方法があります。
②は、明確に無駄な費用以外削ることは、活動を小さくすることになってしまうので、あまり良策とは言えません。 ただ、給与(経費)を変えずに効率を上げられないか等は、考えるべきです。
次に①の場合、売上を増やせればいいのですが、簡単にそれができれば苦労はしません。
せめて、仕入れ、外注費の見直しをするぐらいになります。(3~5年に1回位はやるべきです)
実際には③の両方増やすを、考えることになります。
たとえば、広告費を増やせば、売上が増えないか? 家賃(支店)を増やせば? 支払利息を増やせば(新規に借り入れれば)、給与(人員)を増やせば、などいろいろ考えられます。
戦略を考えるとは、こうすれば売上が(利益が)増えるのでは?という仮定を考えることです。
その仮定にそって活動すると、どんな経費が必要か、どのくらいの売上や利益が見込めるか推定するものが、経営計画書であり、活動生産性を良くすることです。
一年の計は元旦にあり  今年もがんばりましょう!