税理士からのメッセージ

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MBC合同会計ニュース

2022年12月号

長い間ありがとうございました

すでにご挨拶文が届いていることと思いますが、65歳を機に、代表の職は退き、一税理士として相続などの仕事を中心に、次の代表のバックアップをしていく運びとなりました。
何とかここまで乗り切ることができるのも、皆様のご支援、ご愛顧の賜物と、心より感謝いたしております。本当にありがとうございました。
 
65歳での代表引退は、まだ早いのではないかというお声もいただきましたが、事業承継の視点から考えると、現代表の継続よりも、次期代表の年齢が高くなりすぎない内の引き継ぎが肝要だろうと考えました。
 
次期社長に最適の年齢とは何歳くらいでしょう?
自分の子供に継がせることを考えると、30歳台はまだ若い、と大抵の社長は思います。
しかし、その社長自身が会社を立ち上げたのは20歳台だったりします。
だとすると何が違うから、子供の30歳台の社長は早いのでしょうか?
もしかして、同年齢の頃の能力はあまり変わらないのではないでしょうか?
変わるのは自分で社長になるという気迫です。これが大きな違いです。
 
二つ目の違いは、すでに組織ができあがっているため、経営に技術がいることです。
起業時は組織などなく、自分の感覚だけでやっていけますし、少しずつ発展するから、経営を少しずつ学べます。
ところが起業後30年の会社を引き継ぐには、前社長が30年かけて学んだことを、短期間で学ばなければなりません。
20歳台や30歳台では難しいでしょう。
 
三つ目の違いは、前社長が築いた歴史と社風があることです。
新社長は、たとえ納得できなくても、この歴史と社風を無視して、経営判断をすることはできません。
自分の経営方針と歴史をうまく融合させる、社員に納得させる、この辺も若いと難しい所です。
 
私が、峰岸幸夫先生から事務所を引き継いだのが56歳。
自分ではもう少し若い頃に引き継げたら良かったなあ、と感じました。
若い頃はパワーがあり、年齢を重ねると経験が積み重なる。
その辺を考えると両方を兼ね備える40歳台が、次期社長の適齢期と言えるかもしれません。
 
私の「税理士メッセージ」は今回で最終回となります。
長い間、お読みいただいた皆様に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

2022年11月号

会社の基本は民主主義ではありません

私は社員から税理士になり、そして二代目の代表になりました。
そのため社員と社長、どちらの気持ちもよくわかりますし、二代目の気持ちもわかります。
 
その二代目がおちいりやすい誤りに、社員の意見を聞きすぎる、ということがあります。
もちろん社員の意見を聞くのは必要なことですが、その意見に左右されて、代表自身の意見があやふやになってしまうのは、うまくありません。
会社は、利益を出すという最終目的のために活動するものです。
しかし、社員の意見は、必ずしも会社利益を最優先する意見ではありません。
ですから、会社利益を最優先する社長の意見とは、合わないことが多いはずです。
 
社長が社員から聞くのは、意見では無く、情報です。
意見を聞くのは、一部の幹部社員か外部コンサルタントだけでいいと思います。
情報を最大限集め、熟考し、どんな反論にも耐えうる、社長としての意見を決定する。
その上でその決定を実行するためにキーマンとなる社員と面談し、根回しをする。
会社は、あちこちの意見を調整しなければならない民主主義では動きません。
特に中小企業はスピードが命ですから、社長独裁(ワンマン)が一番いいのです。
当然、その結果の責任はすべて社長です。失敗すれば倒産もあります。
 
昨日まで社員だった二代目は責任を背負うこと、独裁に抵抗があります。
これはまだ判断に自信が無いこと、利益を出すという限定目的を達成するにはみんなの意見よりも一人が考えぬく方がうまくいくことを理解していないためです。
 
ただし社長独裁がすぎると、ブラック企業になってしまいます。
以前、状況が厳しいからと、社員の手当や残業代を削った会社がありました。
その翌月に、社長が高級外車を買ったことで、社員の怒りが爆発し、大部分の社員が辞め、残ったのはあまり能力の無い社員だけだったという事例がありました。
 
社員が社長に対抗する最終手段は会社を辞めることです。
全ての社員が辞めてしまえば、会社は立ちゆかなくなります。
ですから、社長は法律を守り、社員の幸せを考えないといけないのです。
利益が出るための仕組みを、社員が気持ちよく働ける仕組みとしても考え、利益を出すことで給料を上げ、社員の幸せを実現する独裁者。
これが社長の理想像です。(無理ですかね?)
 
日本という国は民主主義であり、会社と違い、利益では無く国民の幸福が目的なはずです。
でも、どんどん株式会社化して、独裁に向かっているような気がします。
気のせいでしょうか?

2022年10月号

会社の危機、社長交代(その2)

 先月に引き続き、社長の交代に伴う株の引き継ぎのお話です。
(2)相続による引き継ぎの注意点

  • 一番オーソドックスな、会社の株が、相続で父から子へ引き継がれる場合でお話します。 会社の株の値段は、業績が良いと高額になります。
    そうなると相続税が高くなるのが問題ですが、同じくらい大きな問題があります。
    それは、会社の株が高いため、相続財産の大部分が会社の株になってしまうことです。
    たとえば、自宅土地建物が5000万、預金を5000万持っている社長が亡くなって、会社の株の金額が 1億円とすると、財産合計2億円、会社の株の割合は50%になってしまいます。
    もしも配偶者と子2人という相続で、長男が会社を引き継ぐとした場合に、長男は会社の株を 全部相続する必要があります。
    そうするとそれだけで長男の法定相続分1/4(25%)を超えてしまい、長男は他の財産を一切相続できないばかりか、他の相続人が要求すれば、超えた金額(5000万円)を現金で支払わなければなりません。
    この解決策は現金を用意するか、揉めないような遺言書を作るしかありません。
    肝心なのは、揉めないように日頃から仲良くすることです。(あたり前ですみません)

(3)売却

  • 最近、親族に後継者がおらず、他人(例えば従業員)が会社を引き継ぐ事例も増えてきました。
    その場合、贈与したり、ましてや相続はできませんから、株を売却することになります。
    当然、社長が亡くなってからではできませんので、生前に売却することになります。 
    売却の時の株の金額ですが、やはり、税務上の金額によることになります。
    相続と同じように、業績の良い会社の株は高額、したがって売買金額も高額になります。
    問題は引き継ぐ人がそのお金を持っているかということです。(大概持っていません) 融資の制度もありますが、返済ができるかどうかが懸案事項となります。
    ぜひ早い段階でご相談下さい。

(4)売却の時の税率

  • 会社の株を売った場合には、おおむね次のように税金がかかります。
     ①自分の会社にその会社の株を売った場合(高い税率)
    (売却金額ー売った株の資本金の額)×総合課税の税率(最大約55%)
    ②それ以外の場合(安い税率)
    (売却金額ー売った株の資本金の額)×約20%

自社株を売却すると社長の老後の資金にもなるので、一考の価値ありです。

会社の危機、社長交代(その1)

 経済誌などで報道されているように、中小企業の社長の高齢化が進んで、世代交代や相続などによる社長の交代が今後、多くなりそうです。
社長が交代すると、新社長と古参社員の摩擦、得意先や銀行が受け入れてくれるかなど、たくさんの問題がありますが、今回は税務上の問題点についてご紹介します。
 
1.社長交代の登記(役員変更登記)をするこの登記は社内(株主・役員)で合意すればいつでもできます。まずは登記をしましょう。会社の株を持っていないと、社長になれないと勘違いしている方が多いですが、そんなことはありません。
ただ、株を持っていない社長は、株主にいつでも首にされる危険性があるため普通は、会社の株の50%超を社長が持つわけです。
ですから、現社長が入院し、危篤状態の時などには、亡くなる前に社長交代の登記をしてしまい、株をどうするかは、その後ゆっくり考えることもできます。
(この登記ができないまま大株主である社長が死亡すると、銀行預金の引き出しや新規の契約など、代表の印鑑が必要な取引はできなくなってしまいます。これは社長の持っている株を誰が相続するか決まるまで、解消されませんので大至急相続手続が必要になります。相続がもめないことを祈るばかりです)
 
2.株の引き継ぎ
業績がいい会社の株は、評価金額が高くなり、1億円以上などという場合も、ざらにあります。
その場合には、株を引き継ぐ(名義を移転する)時に多額の税金がかかることになります。
(ずっと赤字の会社は株価が低いのでこの心配はありません)
引き継ぎには、贈与、相続、売却の3つの方法が考えられます。
(1)贈与
①普通の贈与
親子間などでは、よく実行します。
しかし、贈与は1年110万円の基礎控除を超えると、贈与税がかかるため、毎年300万円程度の贈与にとどめて、あまり税額が高くならないようにします。
その場合、長期間続けても少ししか株を引き継げないという問題があります。
②事業承継税制の特例の贈与
(令和2年7,12月にこのメッセージに記載しました)
一定条件に当てはまる場合に、手続をして許可を受けてから贈与すると無税で贈与できます。
しかし、この贈与した株は、相続の時に加算されることになっているので、社長交代を急いでやりたい場合には有効ですが、税金を根本的に安くできるわけではありません。

(来月に続きます)

2022年8月号

住宅の購入に関する税の改正

 令和4年の税法の改正はあまり目玉がないといわれていますが、住宅の購入に関連して、次のような改正がありました。
 
住宅ローン控除の改正
1.自己資金があっても借りた方が得?
住宅ローン控除は借り入れ残高×1%が10年間(一定の場合13年間)控除される制度でしたが、これが令和4年から借り入れ残高×0.7%で13年に改正されました。
(令和6年からは13年が10年間に繰り下げ)
現在住宅ローンの金利は0.5%程度が多いと思います。(変動金利の場合)
つまり金利よりも控除税額の方が多い(得になる)ことがあり得るわけです。
2.分譲住宅の場合令和3年11月(注文住宅の場合9月)までに契約は有利
上記の期間までに契約を結んで、令和4年中に居住した場合(消費税10%が条件)
最初の10年間は1%、その後の3年間は特例計算が控除できる(コロナ特例)
(上記1の令和4年規定と選択)
3.令和6年から一般住宅は建てられない
住宅ローン控除は一般住宅よりも、耐震・省エネなどの住宅が有利になっています。
当然、一般住宅の方が建築価格が安いので、控除が少なくても、全体の金額は安くすみます。
ところが、令和6年から、一般住宅は、建築許可がおりなくなるそうです。
ですから、安い住宅を建てられるのは令和5年までとなるわけです。
4.多額の退職金をもらった年は住宅ローン控除はできないかも?
住宅ローン控除は合計所得金額2000万円以下(令和4年から)でないとできませんので、退職金を多額にもらった年はできない場合があります。(翌年はできます)
 
住宅取得資金贈与の改正
直系尊属から贈与を受けて住宅を取得する場合の贈与税の非課税規定が変更されます。
・耐震・省エネ・バリアフリーの非課税限度額=1000万円
・一般住宅の非課税限度額=500万円
(令和4年1月1日以後の贈与に適用されます)
もしも現在の家を取り壊し、5000万円の2世帯住宅を新築する場合、次のようなことができます。父から子に1000万円贈与(非課税)して建築費支払い
子が住宅ローン2000万を借りて、建築費支払い(住宅ローン控除)配偶者に2000万円贈与(非課税)して建築費支払い
5000万円の建物には親夫婦と子が住み、所有は子が3/5、配偶者が2/5となります。
上記の解説はポイントだけを書きましたので、実際には他の条件があります。
実行するときには担当者に確認してください。

2022年7月号

経営理念は必要?

よく会社経営には経営理念が必用不可欠、と言われますが、本当でしょうか?
別にそんなもの無くても、ちゃんとやっているよ、と思っている経営者の方も多いのでは?
特に創業直後の経営者などは、「理念じゃ飯食えない!」ごもっともです。
最初は余裕もなく、がむしゃらに働かざるを得ず、理念どころではないです。
また、小人数の会社は、社長の生き様が経営理念とも言え、必要ないかもしれません。
ただ、そのまま何年たっても、忙しいばかりで利益も出ず、年をとって立ち行かなくなる経営者がかなり多いのも事実です。
利益が500万円もでると、税金が高くて困ったという社長が、けっこういます。
実はこれは、利益が出ることに慣れていないだけなのです。
毎年1000万円、1億円利益が出ている会社は、税金が高いのはいやだが、利益が減るのはもっといやだと思っています。
この利益が出る会社と出ない会社の差は、どこにあるのでしょうか?運だけではありません。
たくさん儲かるビジネスモデルを考えて、実行して、結果を見直して、再計画するのが利益が出る会社。
そもそもビジネスモデルが無いか、利益があまりでないビジネスモデルを実行し、見直しもしない会社が利益が出ない会社です。
(そういう会社の社長は、不都合な現実(耳に痛い事実)から目をそらしがちな方が多いようです。)
実は、たくさん儲かるビジネスモデルを計画するにも、実行するのにも経営理念が必要なのです。
売上は顧客からの人気投票です。
人気があれば大量に売れ、高い商品でも人気があれば売れます。
この人気を得るための仕組み、コンセプトを考えるのに、理念がなければ、薄っぺらい仕組みに終わり、人の心をとらえるコンセプトにたどりつけないと思います。
逆に、人の心をとらえるコンセプトにたどり着いたとき、自分がやるべき使命、理念に気付くのかもしれません。
運がいいとすれば、使命に、理念に気づけたことが一番の幸運でしょう。計画ができ、実行するときに理念があると無いとでは、社員の働き方に大きな違いが出ます。
社員は誇りを持って仕事をしたいのです。誇りを生み出すのが理念です。
利益は計画して出す。
計画には理念が必要。
私が40年会計事務所をやってきて、毎年多額の利益が出る会社は、そういう会社だと思います。

2022年6月号

生命保険あれこれ

生命保険。
使い方によってはとても役立ちますが、無用の長物になっている場合も見受けられます。今回はその注意ポイントをいくつかお伝えしましょう。
 
1.生命保険ってなんで必要?(医療保険を除きます)
①家族の内の稼ぎ手が亡くなった場合に、残された家族の生活や学費に備えてかける。
②借金をしてる人が、返済途中に死亡した場合に残債を払うためにかける。
③相続税や葬儀費用など、死亡後の多額の支出に備えるためにかける。
個人の場合はだいたいこんな理由で保険に加入し、法人の場合も①は社長の死亡、
③は退職金の支出に備えて、に理由を変えれば、当てはまります。
①の理由に当てはめると、稼ぎ手ではない子供に保険をかける必要はありません。(学資保険は③の理由の変形です)
 
2.保険の種類を理解して安い保険で十分な保障を
例えば、30才の人が子供のために保険に入るならば、一生ではなく60才までの保障でいいと思います。(その頃には子供も30歳を超え、親のすねかじりでは無いはずですから)
この場合、補償額は一定金額ではなく、(60才-死亡時の年齢)×一定額という保険に加入すると、保険料が1/2になります。(徐々に保障額が小さくなるため)この保険の考え方は②の場合にも借入残が減るのに保障額をあわせれば、保険料が安く済みます。
③の場合は一生保障が続かないとなりませんので、定期保険ではなく、終身保険が適切になります。ただ、終身保険は保険料が高いので、葬儀費用に備える程度に留めるのが一般的でしょう。
 
3.会社で経費(損金)になる保険
支払ったとき保険料全額が一括で損金になるのは、定期保険です。前払いでも1年分であれば全額損金になりますが、もしも13ヶ月分を前払いした場合は、1ヶ月分しか損金にならず、のこり12ヶ月分は前払費用という資産になってしまうので要注意です。養老保険などは払ったうち1/2とか1/3とかは損金になりますが、残りは資産の扱いです。いろいろ種類はありますが、どんな保険でも、受取人が会社でないと損金にはなりません。
例えば、社長を被保険者にして、受取人を社長の配偶者にした場合、その保険料は社長に対する給与とみなされ、社長個人に税金がかかります
ただ、特定の人ではなく、社員全員に一律にかける定期保険には、例外的に給与にされないものもありますので、保険会社の方によく確認してください。
 
保険はかけ方によっては大変役に立つものです。
保険会社の方によく確認して、目的と保険の内容を合わせて、加入してください。

2022年5月号

2022年4月号

2022年3月号

子供がいない場合の相続は?

最近、子供がいない方の相続が、少しずつですが増えているようです。
子供がいない場合、誰に財産がいくのか?考えてみましょう。
 
まず相続人になれる順番は次の通りです。
第1順位 子(配偶者がいる場合は共同で相続人になります)(子+配偶者
第2順位 親(配偶者がいる場合は共同で相続人になります)(親+配偶者)
第3順位 兄弟姉妹(配偶者がいる場合は共同で相続人になります)(兄弟+配偶者)
 配偶者は、他の相続人対象者がいる場合、単独では相続できません。
ですから子がいない夫婦の場合、夫(あるいは妻)の兄弟と財産を分け合うことが多いです。
(親はすでに亡くなっているケースがほとんどですので)
法定相続分は配偶者3/4、兄弟姉妹1/4となります。
 
この場合、次の2つのケースが考えられます。
A.先祖代々の土地が相続財産である場合、その土地が配偶者(例えば妻)に3/4相続されて、その妻が亡くなったら、「妻の兄弟」にその3/4の土地がいくことになります。(子がいないため)
これは先祖伝来の財産が血のつながりのない人に流れてしまうことで、1/4しか相続できない夫の兄弟にとっては、許しがたいことと感じられるはずです。
B.逆に相続財産が全て、夫婦が築きあげた財産だけ(先祖からのものがない)である場合、その1/4が兄弟にいってしまうのは、配偶者にとって、身を切られる想いかもしれません。これを解決する方法には、遺言書を書く、信託をする、という二つの方法があります。
 
Bの場合は、遺言書で夫が全ての財産を配偶者(妻)に相続させると書けばOKです。
兄弟には遺留分がありませんので、1/4を守ることができます。
Aの場合は難しくて、遺言書という方法では万全とは言えません。
(夫が生きてるうちに、妻が「自分が相続した財産は全て夫の兄弟に遺贈する」という遺言書を作る方法が考えられますが、夫の死後に書き換えたり、財産を売却したり、抜け穴があります)
 
これを解決するには、信託という方法があります。
信託は夫の死後、妻に財産の受益権を渡し、さらにその妻の死後の受益権を指図することができます。
(つまり自分の死後の財産の配分をきめられる)
または、妻の死後、信託契約を終了し、その財産を自分の兄弟に渡すことも可能です。
これは信託銀行に依頼するか、弁護士などの専門家に相談して実行します。
 
もしも相続人が誰もいない場合は、財産は最終的に国に帰属します。

2022年2月号

経費になるか?資産になるか?の境目

例えば100円のボールペンを1本買った場合、税務上、 消耗品費(経費)になります。
しかし、200万円の新品の自動車を買った場合には、 車両運搬具(資産)になります。
消耗品費になれば、買ったときに全額経費になりますが、資産の場合には、買ったときには1円も経費にならず 、耐用年数(乗用車の場合6年)の期間に分けて経費にします。
このやり方が減価償却です。
ただ、値段が高くても、 既往の実績で1年使えないことが明かな物は、消耗品費になります。
 
また、同じ物を買っても違う経理方法になる場合があります。
たとえば文具店が販売用ボールペンを買ったり、自動車販売業が販売用自動車を買ったらそれは 仕入とされ、売れるまでは棚卸資産となり、経費や減価償却にはなりません。
 
税法上、経費となるか資産となるかは次のように金額で決まります。

取得価額30万円以上で、1年以上使える物は資産(減価償却)となります。
 
この制度を利用して、次のような節税が行われていたようです。
A、期末に、①や③の物を買って、全額経費にする。
B、①に該当する足場、ドローン、LED照明などを大量に買い経費にした上で、他の会社にリースして収入を得る。
  初年度で大量に経費になりますが、その後リース収入が利益になるため、長期的にはプラスマイナス0です。
このBの節税を押さえるため、令和4年の改正で、この制度が少し変わります。上記の①~③に該当する場合でも、他社に貸付ける(リース)場合は資産にし、通常の減価償却をする、という変更です。
これにより、Bの節税をやろうと思っても、減価償却費が経費になるだけなので、効果がありません
。さらに、少額な物でも償却資産税がかかるようになってしまいます。
 
ただ、自分の会社で使う物であれば、今まで通りなので、Aの節税は大丈夫です。
(特例でグループ会社へ貸し付ける場合は、今まで通りの扱いになります)
上記の改正は、国会で承認された後に施行され、令和4年4月1日以降に購入する物に対して適用される予定です。

2022年1月号

電帳法について2年間緩和の経過措置が!!

今月のMBC合同会計ニュースにも取り上げております「電子帳簿保存法の改正」が令和4年1月1日からスタートしました。
しかしもっともやっかいな部分を実質上延長する経過措置が、令和3年12月10日の与党税制改正大綱で発表されました。(MBCニュースにはこの経過措置は載っていません)
それは「電子取引については電磁的記録を義務づける制度」について、
「令和5年12月31日までの間は、電磁的記録が保存できなかったことについてやむを得ない事情があると認められる場合には、書面による保存を認める」という経過措置です。
このやむを得ない事情とはどんなものかは現時点(12/16)では発表されていませんが、事実上の2年間の猶予措置のようです。
これは2年間の猶予を与える代わりに、その後は厳しく取り締まるものと考えられますので、早めに電磁的記録の準備、トレーニングを始めましょう。
 
1年の計は元旦にあり・・・PDCAを回そう!
このありふれた格言の意味は、行き当たりばったりにやるのではなく、スタートするときに目標を決め、計画を練ってから行動しましょうという意味だと思います。
何かあまりにも当たり前のことを優等生的に上から目線で言われている気がして、若い頃は反発していましたが、これって事業の神髄ですね。
 
最近の言い方だと、PDCAを回す、でしょうか。
P(プラン計画する)、D(do実行する)、C(チェック評価する)、A(アクト問題点を改善する)を回し続けることで、事業は継続して発展します。
この中で最も重要なのがP、計画です。
そして私のように勉強が苦手だった者にとって、「計画」ほど面倒なことはありません。
しかし、計画無しでやっていると、結局目の前の業務をこなし、起きた問題に対応するだけが社長の仕事になりかねません。(私もそうです)
 
せっかくのお正月、5年後の会社の姿を夢見てみませんか?
売上を倍にする!社員の給料を増やす!工場を広くする!というゆるい感じでいいんです。
5年後の自分や、社員の年齢も計算しましょう。
それを紙に書けば、中期経営計画です。(いい加減でいいのです)
そして5年後にそれを実現するための短期経営計画書は、数字をいれて一緒に考えましょう。